公共交通機関でお遍路 Season 1「阿波編」

こんにちは、ばんばんです。

 2015年12月にふと思い立って遍路を始めました。今となっては直接のきっかけが何だったのかはっきり思い出せないのですが、スタンプラリー感覚に近かったと思います。

 今まで数え切れないほどの旅をしてきましたが、このお遍路旅が一番苦しく、でも一番楽しかったように思っています。

 誰もいない静まり返った境内で般若心経を何度も唱えるうちに、自然と娘の幸せを願うようになっていきました。結願までに176回もお願いしたことになるので、弘法大師もきっと娘の幸せを見守ってくれることでしょう。

タイのバンコクから四国に7回通った3年半の記録です。

1日目

関西空港から始まりの地 霊山寺へ

 関西空港から「スキップ2000」という割引切符を利用して南海電車、南海フェリーを乗り継いで徳島へ上陸。いよいよ3年半に及ぶ四国巡礼旅の始まりです。

 小雨の中、JR高徳線板東駅に降り立ったのは数名で、お遍路さんらしき姿は全く見られません。

 右も左もわからないくせに標識も探さずに歩き始めたため、いきなり道を間違えてのスタートとなりました。

霊山寺〜極楽寺〜金泉寺

【1:霊山寺】

 

 天平年間(729-749)に行基菩薩による創建。本尊は釈迦如来。一番札所として多くの遍路で賑わっている、

 駅から約15分で霊山寺に到着。12月の平日午後とあって、境内にもお遍路さんの姿はほとんどありません。

 納経所の売店でお遍路グッズを買えば、手取り足取り初心者指南してくれるとWebで読んでいたのに、全くそんな雰囲気もなく。。。

 納経帳、経本、納め札、白衣(袖なし)と最低限必要と思われるものだけ購入させていただきました。実は、100円ショップで、ロウソク、線香、数珠を購入済。

 幸い、本堂に人の姿もなかったので、ちょっとだけ動画を見ながら練習した般若心経を唱えてみました。今思うと、もうドキドキのバタバタです(笑)。

 

【2:極楽寺】

 

 奈良時代(710-793)に行基菩薩による創建。弘法大師作と伝わる阿弥陀如来を本尊とする。

 霊山寺を出て、雨嫌だなーなんて考えながら歩いているとあっという間に到着です。

 雨脚も少し強まる中、ヤケクソ気分でお祈りを済ませて納経所へ行くと、「雨の中のお勤めご苦労様です」とねぎらいの言葉をいただき、やる気が少し復活。

 

【3:金泉寺】

 

 天平年間(729-749)に行基菩薩による創建。行基作と伝えられる釈迦如来を本尊とする。

 次の金泉寺までも距離は短めで、お寺に到着する直前にあったお遍路道標に従って右折すると、道は田んぼのあぜ道に入っていきます。子供の頃に近くの田んぼで走り回っていた頃以来かもしれません。懐かしい気持ちになりながら金泉寺に到着しました。

 金泉寺でお参りを済ませて、散々道に迷った挙句にJR高徳線板野駅へ。

 駅の待合室で濡れた服を着替えて時刻表を見ると、次の普通列車は1時間以上先ですが、その前に特急があるではないですか。夜行明け、雨、初日ということもあってありがたく特急に乗らせていただき、徳島駅に戻ってきました。

 

1日目のデータ

From 交通手段 時間 距離 To
徳島駅 JR高徳線普通 25分   板東駅
板東駅 徒歩 15分 0.7km 霊山寺
霊山寺 徒歩 25分 1.4km 極楽寺
極楽寺 徒歩 45分 2.6km 金泉寺
金泉寺 徒歩 20分 1.0km 板野駅
板野駅 JR高徳線特急 15分   徳島駅

歩行時間:1h45m 歩行距離:5.7km

2日目

雨上がりの徳島駅から大日寺へ

 前夜は冬の嵐が到来しており、徳島県南部地方には大雨・洪水警報が出ていました。この日は雨こそあがったものの、生ぬるい風が吹く感じの朝となりました。

 山間部は崖崩れの心配もあったので、予定を変更して、引き続き徳島市内を歩くことに決めました。

 中心部から郊外に向かうバスは朝のラッシュ時とはいえ空いていて、病院に向かうお年寄りや学校に行く学生が数人乗っては降りてというゆる~い感じで田園地帯を進んでいきます。

 鮎喰川を渡って右折すると一宮札所前バス停はすぐそこ。

大日寺〜常楽寺〜国分寺

【13:大日寺】

 弘仁6年(815)に弘法大師による創建。十一面観世音菩薩を本尊とする。

 こじんまりした境内に、私以外には誰もいませんでした。冬の平日はお遍路さんも少ないのだなと納得。

【14:常楽寺】

 弘仁6年(815)弘法大師による創建。四国霊場の中で唯一弥勒菩薩を本尊としている。

 田んぼの中の道を歩いて鮎喰川の堤防に出ると、橋を先程と逆に渡り返します。天気も回復傾向のようで青空に山と川が映えて、とても雄大な景色の中をのんびりと歩いて行きます。常楽寺の境内は岩がゴツゴツとして特徴的。

【15:国分寺】

 聖武天皇の勅命で、天平13年(741)行基菩薩によって創建。全国に整備された国分寺のひとつ。本尊は薬師如来。

 国分寺まではそれこそ散歩程度の距離。奈良時代には壮大なお寺だったと説明がありましたが、現在は、東大寺大仏殿をちょっと上に引っ張ってみたような形の本堂が名残りを留めています。

 近所のおばあさんが丁寧に掃除していたのが印象的でした。

 旅をしていた当時は知らなかったのですが、国分寺の裏山あたりには古墳がゴロゴロあり、中には卑弥呼の墓と伝わる神社もあったらしいです。知っていれば行きたかったです。

国分寺〜観音寺〜井戸寺

【16:観音寺】

 天平13年(741)弘法大師による創建。千手観世音菩薩を本尊としている。

 観音寺はうちの近所にも普通にありそうな小ぢんまりとした静かなお寺でした。この頃は少し雨模様で、残念ながらお参りがとてもやりにくかった印象に。

【17:井戸寺】

 白鳳2年(673)天武天皇のよる創建。七仏薬師如来を本尊としている。

 途中、大御和神社の銀杏の大木が黄色に染め上がっていて、美しいのひとことでした。

 雨も上がって、鼻歌なんか歌いながら歩いていると向こうからやってきた若奥さんが「お疲れ様でーす」と声をかけてくれました。何気ない一言でも心が温まります。「あっ四国いいなって」。

 井戸寺は淡々とお参りし、今日の行程終了。バス停まで歩いて、お買い物に出かけました。

2日目のデータ

From 交通手段 時間 距離 To
徳島駅前 徳島バス
神山高校行
25分   一宮札所前停
一宮札所前停 徒歩 1分 0.1km 大日寺
大日寺 徒歩 40分 2.3km 常楽寺
常楽寺 徒歩 10分 0.8km 国分寺
国分寺 徒歩 25分 1.8kn 観音寺
観音寺 徒歩 45分 2.8km 井戸寺
井戸寺 徒歩 45分 2.7km 南島田停

歩行時間:2h46m 歩行距離:10.5km

3日目

徳島駅〜大日寺

 旧友のAさんが駆けつけてくれたので、二人で尽きることなく話しながらの楽しい遍路になりました。今日は約30キロの行程となるため、早朝の列車で夜明け前の板野駅へGo。

 【4:大日寺】

弘仁6年(815)弘法大師によって創建。弘法大師作と伝わる大日如来を本尊とする。

 板野の昭和なたたずまいの街を抜け、所々に田んぼや畑が現れる道をかなりのハイペースで歩いていきます。

 昨日は関東で25度を超えるという12月としては記録的な暖かさだったのですが、今日は吐く息が真っ白。

 Aさんとは遍路のこと、バンコクでの暮らし、仕事、家族等々話題が尽きることなく話をしていましたので、大日寺もあっという間に到着です。

 あっ!そうそう、途中でわずかな距離だけど昔ながらの山道を通過しました。「まむし注意!」の看板にビクビクでした。

 大日寺では珍しく私の写真を撮っています。遍路の白衣を着ている写真は実はこれだけしか残っていませんが、旧友との再会で楽しかったのでしょうか。

地蔵寺〜安楽寺〜十楽寺〜

 【5:地蔵寺】

弘仁12年(821)弘法大師によって創建。弘法大師作と伝わる勝軍地蔵菩薩を胎内仏とする延命地蔵菩薩を本尊とする。

・・・には一気に駆け下りて到着し、

 【6:安楽寺】

弘仁6年(815)弘法大師によって創建。弘法大師作と伝わる薬師如来を本尊とする。

・・・には道を間違えそうになるハプニングもあったりしながら、

 【7:十楽寺】

大同年間(806-810)に弘法大師によって創建された。弘法大師作と伝わる阿弥陀如来を本尊とする。

・・・には散歩気分で到着。

 ここまで約14キロをハイペースで歩き続けていたこともあって流石にお腹が空きました。門前で「たらいうどん」をいただき、うまい!

熊谷寺〜法輪寺〜切幡寺

【8:熊谷寺】

弘仁6年 (815)弘法大師による創建。千手観音菩薩を本尊とする。四国最大規模の仁王門を構える。

 十楽寺からの道は高速道路近くを少しアップダウンしながら続いていきます。今までの古い街並みからすると、う〜ん普通という印象です。途中、温泉の案内があったりしながら、約1時間で熊谷寺に到着しました。

 お参りを終えて、次への道標にしたがっていくと、立派な仁王門が現れました。大きさといい、古〜い感じといい威厳があります。最後に一礼してお寺を後にしました。

 

【9:法輪寺】

弘仁6年(815)弘法大師によって創建。涅槃釈迦如来を本尊とする。

 大きく広がる水田の中の道を進んでいくと、遠くから見ても、あれが法輪寺かなというお寺があります。想像通りの法輪寺でした。このお寺は八十八ヶ所唯一、涅槃仏を本尊としているとのことです(当時は知りませんでしたが)。

【10:切幡寺】

弘仁年間(810-824)弘法大師によって創建。千手観音菩薩を本尊とする。

 朝から歩き続け、疲れてきている身にはきつい坂道、階段が手ぐすね引いて待っていました。入り口のお土産屋あたりまでは、のんびりと良い雰囲気だったのですが、その先・・・。階段よりも坂道が苦しかったです。

 全部回り終えた今となっては、なんのことない坂道や階段ですが、まだまだ初心者でしたから。

沈下橋でファミコンゲーム!?

 さて、今日の行程は吉野川を越えてすぐのJR徳島線阿波川島駅まで。ペースを落とさずに歩き続けていましたが、吉野川にたどり着いた頃には、かなり暗くなってきていました。

 暴れ川である吉野川には洪水で流されないように、潜水橋も設置されています。川島潜水橋は遍路道になっているので、多くの遍路が雄大な景色の中の特別な体験をしています。

 さて、潜水橋を渡ります。2日前の豪雨で吉野川は増水し、ゴウゴウと音を立てて流れています。暴れた水面がすぐそこというだけで、テンションが上がります。

 そして、この潜水橋は幅が狭く、車同士がすれ違うためには途中に設けられた待避所で、対面の車を待つという運用になっています。歩行者も基本は待避所で車を待ちます。

 普段は車が少ないんでしょうけど、我々が渡っていたのは、ちょうど夕方の帰宅時間。次から次へと車がやってきます。

 そうなってくると気分はもうファミコンゲームの主人公です。向こう岸を目指す道にモンスターが前から後ろから次々とやってくる。僕らのできることは、影に隠れてやり過ごすだけ。Aさんと「次の次まで走れー!」なんて言いながら渡ってました。

 暗闇、暴れ川の轟音、疲労との戦いで冒険気分でした。

3日目のデータ

From 交通手段 時間 距離 To
徳島駅 JR高徳線普通 30分   板野駅
板野駅 徒歩 75分 5.0km 大日寺
大日寺 徒歩 30分 2.0km 地蔵寺
地蔵寺 徒歩 80分 5.3km 安楽寺
安楽寺 徒歩 20分 1.2km 十楽寺
十楽寺 徒歩 60分 4.2km 熊谷寺
熊谷寺 徒歩 35分 2.4km 法輪寺
法輪寺 徒歩 55分 3.8km 切幡寺
切幡寺 徒歩 90分 6.0km 阿波川島駅
阿波川島駅 JR徳島線普通 45分   徳島駅

歩行時間:7h35m 歩行距離:29.9km

Season-1累計:15/88札所 – 46.0km 

楽しくなければ1回で止めればいいやぐらいの気持ちで出かけた、初めてのお遍路遠征でした。旧街道や山里の道、川沿いの道等、普段車で走っていると入っていかない、もしくはあっという間に通り過ぎてしまう景色が楽しかったです。

 また、四国の美しさに魅了され、次回は祭りのシーズンに行こうと心に決めたことを覚えています。

 

  1. 公共交通機関でお遍路 Season 1「阿波編」
  2. 公共交通機関でお遍路 Season 2 「土佐・阿波・伊予編」
  3. 公共交通機関でお遍路 Season 3「讃岐編」
  4. 公共交通機関でお遍路 Season 4「土佐・伊予編」
  5. 公共交通機関でお遍路 Season 5 「四国全土編」
  6. 公共交通機関でお遍路 Season 6「讃岐編」
  7. 公共交通機関でお遍路〜最終回〜「結願」
  8. 公共交通機関でお遍路〜お遍路を終えて〜